薮内です。
92話 「水とあくたれ」
ここでいうところの「あくたれ」というのは
先生の時代の悪たれなんでしょうね。
青春の一部としてのぐれただけなんでしょう。
節度有るワルと言うべきでしょうね。
心の底までは悪くなっていない「有田君」が
最後には自分の能力の全てを出した
まさに人間の本姓を信じたくなってくる傑作と思います。
薮内 覚
おがわです。
BJ 第93話 「水とあくたれ」 出演キャラクターリスト(出演順)
三太・・・・・・・・・・・・・・・・有田
?・・・・・・・・・・・・・・・・・・大椋
ピノコ・・・・・・・・・・・・・・・ピノコ
ブラック・ジャック・・・・・・ブラック・ジャック
有田は一見特別なデザインではないように見えますが、オリジナル
キャラクターにしては不自然なところがあります。
有田は、1)女の子に人気があり、2)不良がかった、少年ですが、
当時の手塚先生のデザインセンスから言って、そういう少年を坊主
刈りにするというのは考えにくい。
そこで、かなり初期のキャラクターではないかと考えたのですが、そ
うだとすると、「そよ風さん」「ひまわりさん」に出ていた三太というキャ
ラクターが近いようです。
「ひまわりさん」の中には、三太が川でおぼれかかっている女性を
助けるシーンも出てくるので、それを意識したのかもしれません。
このキャラクターは少々嫌味なくらいの優等生なんですが、それで
わざと不良がかった役に抜擢したということも考えられます。
ちなみに第100話「すりかえ」にはひまわりさんらしきキャラクターが
出ています。
このマンガの中には「中学生なのにキッサ店にいるなんてグレてん
じゃないか」というセリフがあります。
いくらなんでもそれはないだろうと思っていたんですが、この間喫茶
店で店においてある「愛と誠」を読んでいたら、やっぱり中学生や
高校生が喫茶店に入ることが不良の証拠であるかのように描かれ
ていました。
主人公の愛が喫茶店でウェートレスのアルバイトをすることなんて、
風俗店で働いてでもいるかのような、ものすごくスキャンダラスなこと
として描かれていて、ちょっとびっくりしましたよ。
そんな時代だったのかなあ。
僕の高校時代くらいの喫茶店といえば「750ライダー」のピット・イン
なんかのイメージで、わりと健全な感じだったんですけどね。
「マンガの中に描かれた喫茶店」というのも風俗史の一つのテーマ
としてありうるかな、なんて思いました。
「漫画家残酷物語」にも喫茶店、よく出てきますね。
そうそう、「フーテン」、ちくま文庫から出てたんですね!
まだ手に入るのかな。ちょっとあたってみます。
文庫のマンガはチェックが甘いんですよ。
星野さん、情報ありがとうございました。
おがわさとし
虫媒花です。
年末ですが、掃除もしないで感想書いてます。
昨晩のTBSの「筑紫哲也 NEWS23 手塚治虫スペシャル、鉄腕アトム
は目覚めるか」を見ました。
手塚漫画&アニメと現代日本の社会的な問題をからませた切り口で、
先生の、未来に対する「先見の明」ばかりが強調されていた感じがし、
そこが私にはちょっと不満でした。
先生はエンターテイナーであって、予言者でも学者でもなかったんだ
けどなあ・・・でも、番組が番組だから、しようがないかしら。
23日にケーキを買いにいったばかりの初台の手塚ショップの内部も
映っていました。ショップは規模がどんどん縮小されているみたいで、
寂しいです。でもこうしてTVが取り上げてくれれば、「名所」になれ
るかな?
さて。BJ第93話「水とあくたれ」
> おがわです。
> 有田は一見特別なデザインではないように見えますが、オリジナル
> キャラクターにしては不自然なところがあります。
> 「ひまわりさん」の中には、三太が川でおぼれかかっている女性を
> 助けるシーンも出てくるので、それを意識したのかもしれません。
ううーん、いつもながらおがわさんの見方は鋭いですね。
「ひまわりさんのキャラ」なんて、私にはまるで想像もつきませんで
した。優等生の三太・・・はい、なるほど似てるかもです。
昔の少女があこがれた少年のタイプ・・・今見ると、たしかに
つまんない奴です。
> このマンガの中には「中学生なのにキッサ店にいるなんてグレてん
> じゃないか」というセリフがあります。
> いくらなんでもそれはないだろうと思っていたんですが、この間喫茶
> 店で店においてある「愛と誠」を読んでいたら、やっぱり中学生や
> 高校生が喫茶店に入ることが不良の証拠であるかのように描かれ
> ていました。
私、喫茶店というものにはいったのは、漫画喫茶コボタンが初めて
でした。「火の鳥」の原画展が開かれたので、こわごわ(笑)行った
んです。その経験で「ああ、私はグレた」と思いました(大笑)。
私がこの回で印象的だったのは、ピノコの「育てられかた」でした。
一見あどけない幼女なのに、出生も体の作りも普通の人間と違い、
日常生活までが大変な努力の上に成り立っている・・・ピノコの、
そういう事実を知らされて、驚かない人がいるでしょうか。
ウランちゃんもか弱い少女に見えて実は大力無双なんですが、
性格がウランもピノコも、「オンナノコ」なんですよね。
こういう苛酷な育てられかたをすれば、性格も女丈夫っぽくなる
か、暗くなると思うんですが、そうじゃないのが面白いというか、
妙というか・・・
ウランの場合はまあ、ロボットなので「オンナノコ」性格を組み
込まれているのかもしれないですが、ピノコって、意外に隠し持って
いる性格があるのかも・・・
虫媒花
みなさん今晩は。金沢みやおです。
薮内覚さんの言われる「寂しい灯」、絶やさないようご協力しますとも。
たとえ遅れても、亀の歩みでいつか追いつきましょう。今年も気長に行く
つもりの金沢です♪。年頭の抱負も述べたところで、さて
「水とあくたれ」
不治の病で、水泳選手への道を絶たれた有田君は、ヤケになって不良化。
水泳を忘れ、ピノコをダシにBJに金をせびりにくる転落ぶり。
ピノコの血のにじむリハビリテーションを引き合いに彼を諭すが、聞く耳
を持たない有田君。BJも一度は彼を見放す。しかし、ピノコが川で溺れた
時、有田君は自分の一命を犠牲にピノコを救う。彼を見直すBJ。
BJ今回はあんまり活躍していません。彼に一度説教しただけで、珍しく
手術も治療も無し!。マリー症と聞いただけで「まずなおらんだろう」と
簡単に片付け、診察の一つもしていません。どうしたんだBJ!。
自滅を選んだ有田君も感心しませんが、水泳ではもう望みが持てないと明か
な彼に対して、あくまで泳ぎを捨てるな、それが君の生きがいではなかった
のかと言うBJも、ちょっと相当にキビシすぎじゃあないですかね。
こんな場合たいがいBJは、残された日々に希望の持てる「別の可能性や生
きがい」に目を向けさせていたと思うんですがなぁ。
ピノコの体の造りについて、顔と胴体は人工皮膚、手足と頭はナマの皮膚と
の設定がはっきり書かれているのも注目点です。
どうもピノコの人工外骨格は、重い材質でできているらしく、生身の人より
比重が大きくブクブク沈むので、ピノコは泳げないと…。
待てぇ〜い!。90話「シャチの詩」で、
ピノコ「わーっ きえいな お水!!」「泳ぎたいくやい!!」
BJ 「泳ぎたければどうぞ」
と言って、ピノコは海に入っとるやないかい!。
手塚先生困るなあ。つい最近の設定を、無かったことにしましたね?!。
うむ。つっこみばっかりでは面白くないですね。話を変えて、
10ページ目左下の小さなコマ、有田君のトレーニングを見つめる、憂い顔
のピノコが、非っ常〜ぉに、可愛いぃっ!。好きっ!。
ところで。なぜ有田君であり、水泳大会1着は大椋(おおぐら)君なのか。
水泳大会のヤジで「一馬身ぬいたぞ有田ーっ」とある通り、競馬ネタでは?。
有馬記念 → ありま → 有田(ありた)
小倉競馬場 → こくら → おぐら → 大椋(おおぐら)
というわけです。いや、だからどうだと詰め寄られると困るんですが…。