おがわです。
BJ 第78話 「地下壕にて」 出演キャラクターリスト（出演順）
コンチック・ショオ伯爵・・・・・・・・社長
ハム・エッグ・・・・・・・・・・・・・・・・専務
フランケンシュタイン博士・・・・・招待客
タコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・灰皿持ち
モクサン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・招待客
お茶の水博士・・・・・・・・・・・・・・招待客
ロンメル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・招待客
ブラック・ジャック・・・・・・・・・・・・ブラック・ジャック
久々のオールスターキャスト。
「？」がないというのは実に気持ちがいいですな。
ハム・エッグ以下のスターキャラについては説明の必要もないでしょう。
ところが今回の準主役である社長にはちょっと変わったキャラが扮して
います。
この人は「新世界ルルー」に出てきたコンチック・ショオ伯爵です。
「新世界ルルー」ではもみあげや髭のデザインがころころ変わっていた
りして、けっこうぞんざいな扱いをされていました。
しかもそれ以降の作品には登場した形跡がありません。
そんなキャラクターが「ブラック・ジャック」の、しかもこんなオールスター
キャストの作品に誰よりも大きな役で出ているのにはわけがあります。
コンチック・ショオ伯爵は若い頃、親友のドン・ナ・モンデスとチッキーと
いう少女をめぐって三角関係にありました。
才能もあり、若くしてドン科学研究所の所長でもあったドン・ナ・モンデス
をショオはねたみ、彼を一千年後まで開けることのないタイムカプセル
に閉じこめて地下に埋めてしまいます。
そしてモンデスの財産と地位とチッキーを手に入れるのです。
地下で新世界ルルーへの入り口を見つけたモンデスがショオ伯爵への
復讐を誓うことからこの物語が動き出すのですが、要するにコンチック・
ショオ伯爵とは「親友を地下に閉じ込めた男」なのです。
だから今回は自分が閉じ込められる役で出てきた、という難度Cの楽屋
オチ。
チャンピオン掲載時に気づいていた読者なんていたんだろうか？
気がついてました？
ところで、チッキーは結婚してチッキー・ショオになりますが、コンチック
とのあいだに生まれた子供の名前はバーナード・ショオ。
このベタねたとハイブラウねたが平気で並んで出てくるところが、いかに
も手塚先生らしいですね。
おがわさとし
薮内です。
７８話 「地下壕にて」
手塚先生の話の中で「閉じこめられる」というモチーフに
書かれた作品と言うのが結構あるような気がします。
新世界ルルー（消えた秘密境）をはじめ「落盤」
「秘密指令第３号」、「白いパイロット」、アトム「赤道を行く」
他にもあるはずですが、記憶が悪くて出てきません。
オガワさんフォローして！！
手塚先生の脳への最も強烈なすり込みはやはり戦争
特に、爆撃と防空壕ではないでしょうか。
私達のように「戦争を知らない世代」には想像もできないと思います。
唯一判るとすれば、昭和３０年代前半は停電が結構ありまして
３０分も１時間もあるいはもっとの時間、ランプやローソクの薄明かり
で過ごした経験程度です。
「暗闇・閉じこめ」この恐怖は本当に恐いだろうと思います。
ＢＪが「自分の命より紙切れの証文の方を大事に・・・・」のセリフ
を言い残してお金を受け取らずに去っていくのは
日の光の下に出て来られたうれしさが彼を甘くしたのでしょうか。
おがわさんは書きました。（ＢＪでなく、新世界ルルーのネタです）
> ところで、チッキーは結婚してチッキー・ショオになりますが、コンチック
> とのあいだに生まれた子供の名前はバーナード・ショオ。
> このベタねたとハイブラウねたが平気で並んで出てくるところが、いかに
> も手塚先生らしいですね。
おがわさんの指摘は鋭い！！
本は読んでいましたが、初めて知りました。
ＭＬに入って、この会を継続して得をしたことの一つになりました。
ありがとう。
薮内 覚
みなさんこんばんは。金沢みやおです。
「地下壕にて」
>[8512] おがわさとしさん
「新世界ルルー」は、私も最近読んだところでしたが、コンチック・ショオ
伯爵起用の背景にそういう仕掛けがあるとは気づきませんでした。というか
同キャラだと気づいていませんでした……いかんな〜気づけよ。
面白いお話をありがとうございました！。
ＢＪ、うかつにも契約書無しの仕事をしたようで、コンチック社長からの手
術代５０００万円を取りっぱぐれてしまうようです。
地下壕に閉じ込められた当事者連中からも、彼らが口走った謝礼金を全額回
収できる様子はありません。ＢＪ、今回は丸損？。
お茶の水博士が、珍しく汚れ役(?)をやっていたのが、私には一番記憶に残っ
ています。
いつもは、良い人・正義の人・味方・知力の人を演じる博士です。
が今回は、極限状況下でおいつめられたか、ＢＪに「いのちを救ってくれた
ら１０００万円さしあげよう」といいながら、いざ助かったしまうと前言を
翻し、「あ あれは言葉のはずみだ…………へへ………」「相談したうえで
あらためて……な……」「百万ぐらいが手ごろかな……」と言ってしまい
ます。はぎれが悪く、卑屈な調子で、金を惜しむ小市民そのもの。で、実は
私は、大いにお茶の水博士に共感してしまうわけです。
いざ目前の危機が去ってしまえば、大金を払うのはいかにも惜しい……。
これは、私らのような凡人の分身的なキャラなんでしょうか…。
おがわです。
薮内さん、金沢さん、レスありがとうございました。
金沢さん wrote:
> 「新世界ルルー」は、私も最近読んだところでしたが、コンチック・ショオ
> 伯爵起用の背景にそういう仕掛けがあるとは気づきませんでした。というか
> 同キャラだと気づいていませんでした……いかんな〜気づけよ。
> 面白いお話をありがとうございました！。
コンチック・ショオ伯爵に気がついたときは我ながら感動しました。
だから金沢さんの「ワマヌギイ」もよく分かるんですよ。
うれしいんですよね、ああいうときは。
>薮内です。
>
>７８話 「地下壕にて」
>
>手塚先生の話の中で「閉じこめられる」というモチーフに
>書かれた作品と言うのが結構あるような気がします。
>
>新世界ルルー（消えた秘密境）をはじめ「落盤」
>「秘密指令第３号」、「白いパイロット」、アトム「赤道を行く」
>他にもあるはずですが、記憶が悪くて出てきません。
>オガワさんフォローして！！
えーと、とりあえず、「ブラック・ジャック」の中でも、すでに「ダーティー・
ジャック」と「閉ざされた３人」がありますから、ブラック・ジャックが閉じこ
められるのはこれで３回目なんですよね。考えてみると。
言われてみれば確かに多いですねえ。
写楽くんと和登さんもよく閉じ込められていたような気がするけど。
他にどんなのがあるかな。「奇子」もある意味ではそうですね。
牢屋系では「リボンの騎士」とか「来るべき世界」とかもそういえるかも。
あまりパッと出てこないですけど、他にもいろいろありそうですね。
>薮内です。
>
>おがわさん、いつも出演リストありがとう。
>知っていたら教えて欲しいのですが
>ドクター・キリコのキリコは氏名の氏か名か
>どちらなんでしょう。
>もし苗字なら、妹の名前は「さつま」で
>お父さんは「エド」にして欲しかったな。
どっちなんでしょうねえ（笑）。というかそれ以前にキリコって何人だ？
（前にもちょっと話題になってましたっけ？）
キリコという名前は同名のシュールレアリズムの画家からつけたんじゃ
ないかという気がしますが、それだと名字ですね。
でも画家のキリコはギリシア生まれのイタリア人だそうですが、ドクター・
キリコはギリシア人にもイタリア人にも見えないなあ。
ヨーロッパ人だとするとゲルマン系かスラブ系っぽい。
サツマ・キリコとエド・キリコって、なんのことか分からなかったんで「大辞
泉」引きました。なるほど切り子ガラスねたでしたか。
勉強になりました。
おがわさとし
虫媒花です。こんにちは。
遅れましたが「地下壕にて」について：
おがわさんのメール ↓
> 要するにコンチック・
> ショオ伯爵とは「親友を地下に閉じ込めた男」なのです。
> だから今回は自分が閉じ込められる役で出てきた、という難度Cの楽屋
> オチ。
ほんとに難度Ｃですね！
指摘していただかなければ私、一生わからずじまいでした。
なーるほどー！
> ところで、チッキーは結婚してチッキー・ショオになりますが、コンチック
> とのあいだに生まれた子供の名前はバーナード・ショオ。
これも愉快。
もっと子孫には、アイコデ・ショオや、シオコ・ショオ（塩胡椒）、
ダイチュウ・ショオ、ノーベル・ショオ、ワイド・ショオなんてのが、
生まれそうですね。
私はこの話、何が印象に残っているといって、一番はＢＪの「打診」
なんです。
いかにも少年漫画らしいなあ、と思いました。
メス投げもそうなんですけど、お医者様のシンボルといえるような
指を使っての「打診」。
このワザを見せるために作られた話だと思います。
医師が病人を打診しても当たり前ですが、この力を拡大解釈して
（ホラ話の域にまで高めて）「ほーら、これを応用すれば、壁の中の
コードのありかまでわかっちゃうんです。すごいでしょ！」
というんですね。
真空斬りや、消える魔球と同じ。（たとえが古い）（笑）
本当にはできそうもないことだけど、漫画のヒーローならできそう。
できてよさそう・・・
ＢＪ「七つの威力」というのがあれば、そのひとつに数えられる
威力。
それと、コードを切断するメス。
見たか、スーパー外科医の必殺技と必殺の武器！（笑）。
まかり間違えば「ホラ」がすぎて笑えてしまうこの話を、リアルな
演技（？）で支えたのが、お茶の水博士だと思います。
こういうことを言う人って、実際たくさんいそうだもの。
金沢さんのメール ↓
> はぎれが悪く、卑屈な調子で、金を惜しむ小市民そのもの。で、実は
> 私は、大いにお茶の水博士に共感してしまうわけです。
> いざ目前の危機が去ってしまえば、大金を払うのはいかにも惜しい……。
> これは、私らのような凡人の分身的なキャラなんでしょうか…。
小市民て、ほんとにいえてます。
このお茶の水博士との対比で、ＢＪの超人ぶりが強調されました。
虫媒花
吉見です。
ＢＪの話題は流通量が多くてなかなか参加できないのですが、ちょっと今日は
時間があるので。。
虫媒花さん:
> メス投げもそうなんですけど、お医者様のシンボルといえるような
>指を使っての「打診」。
> このワザを見せるために作られた話だと思います。
>
> 医師が病人を打診しても当たり前ですが、この力を拡大解釈して
>（ホラ話の域にまで高めて）「ほーら、これを応用すれば、壁の中の
>コードのありかまでわかっちゃうんです。すごいでしょ！」
>というんですね。
> 真空斬りや、消える魔球と同じ。（たとえが古い）（笑）
>
> 本当にはできそうもないことだけど、漫画のヒーローならできそう。
> できてよさそう・・・
これを読んでＪＲ西日本のトンネル事故のときの音響検査を思い出しました。
結構ハイテクな世界でも打診（というかたたいて調べる方法）はポピュラーな
ようです。ハンマーでたたいてスイカの自動選別をする機械などもテレビで見
たことがあります。
だもんで、もしかしたら慣れた人ならば壁の中のコードを発見できそうです。
この場合、発見するのはコードの配線ように壁に存在している空洞でしょう
ね。自分も壁にくぎを打つときには叩いて柱を探しますし。
吉見隆
宮川です。 ＢＪ 第７８話 「地下壕にて」 感想
ビルの地下室に閉じこめられた実業界の経営者たちとＢＪ。
ＢＪの必死の脱出作業の結果、無事に外へでることが
できたのだが・・・。
苦境に立たされた？ 人間像を判りやすく描いています。
実業界の経営者たちと違っても、何らかの本性が出る場面
設定ですね。
＜補足＞
・チャンピオンコミックスの昭和版・平成版、変更なし。
・週間チャンピオン連載時の刷り色、藍一色。ページ数、Ｐ２０。
ページ割り、扉表紙、Ｐ１０７．本文−Ｐ１０８〜Ｐ１２６。
発行日、７５．６．２３．
Takehisa Miyagawa